NPOについて最近よく聞くけど、実際どんなことやってるの?
NPOってなんか怪しくない?ボランティア活動をやる人達なの?
助成金・補助金がもらえるの?株式会社とは何が違うの?
こんな素朴な疑問に答えていきます。
本記事の内容
●NPO法人とはなにか?
●NPO法人の相談はどうすればいい?
●NPO法人初心者におすすめの本
こんにちは。
私は、一般社団法人ことばを運営しながら、NPO中間支援施設(現在は施設を辞めてNPO法人の設立/運営、創業支援等)でNPO法人の設立や運営相談を3年ほどを行っています。最近はNPO法人の設立、認証、登記まで細かい部分のサポートも実施しています。また、講座や各種交流会の企画を通して実際に運営している人の声も聞いてきました。
NPO法人について初めて聞いた方でもわかるように書いていきますので、ぜひご覧ください。
すでにNPO法人の設立を検討されている方はこちらをご覧ください。
NPO法人同様に非営利法人の一般社団法人との比較記事になります。

NPO法人初心者の疑問にすべて答えていく
NPO法人は全てボランティアですか?
A.全てがボランティアではありません。
NPO法人は、株式会社や他の組織(社団・財団法人等)と同じように、給料をもらって働いている職員(従業員)がいる組織も沢山あります。
また、アルバイトを雇っているNPO法人もありますが、無償ボランティアだけで運営している組織もあります。
ただし、NPO法人の場合には、受益者(サービスの受け手)がお金を払えないケースも多くあります。
貧困家庭の子どもに対して学習支援や食事提供等は、支援に対してお金をもらうことができません。そのため、お金が回る様子をイメージできないため、NPOはボランティアだと思われてしまうのだと思います。
「NPO法人」は儲けてはいけないのですか?
A.NPOは儲けて大丈夫。というか儲けないと続きません。
こちらも、株式会社やその他の法人と全く変わりません。
NPO法人は受益者に継続的な物やサービスを提供するために、儲ける(収入を得る)必要があります。
しかし、先ほども少しご説明しましたが受益者から対価を得ることが難しいため、受益者以外からの寄付金や助成金、ノウハウを活かした収益事業等の様々な種類の資金を活用して、課題の解決を目指す必要があります。
儲けていいけど、それをどのように使うのかがNPO法人と株式会社の違いです。

「NPO法人」と「株式会社」の違いはなんですか?
A.利益をみんなで分ける(株式)のか。次の事業(NPO)に使うのか。
利益(余剰金)=収入 ー支出(必要経費)
収入から支出(必要経費)を引いて残ったお金(利益)を、関係者で分けることが利益の分配に当たります。
株式会社の場合には、利益を最大化することを目的に事業を行い、株主等への分配をします。しかしNPO法人の場合には、利益(余剰金)の分配をせずに残ったお金は次の事業に再度使います。
これらのことをNPO法人では、「非営利活動」NPO法人のことを「非営利活動法人」と呼びます。
「NPO法人」で給料はもらえますか?
A.NPO法人でも給料はもらえます。
先ほどの「NPO法人は全てボランティア?」という質問でも答えましたが、従業員を抱えているNPO法人も多くあります。
NPO法人の場合でも、従業員を雇ったら最低賃金、労働時間等の労働基準法の厳守は他の法人と全く同じです。
※特別な方法があるだろうと思っている人がいて、ごく稀に相談してくる人も中にはいますが、NPO法人だからといって特別なことはありません。
「NPO法人」と「株式会社」では会計も違う?
A.「NPO法人」と「株式会社」では用いる会計の方法が違います。
NPO法人が、株式会社と同じような企業の会計基準で会計を行うと「会費」や「寄付」といった項目がありません。NPO法人のために作られたNPO法人会計基準というものを用いることで「会費」や「寄付金」等の項目が設けられています。
詳しくは、以下をご覧ください。
マニュアル(PDF)から各提出書類のデータ(Exsel)まで全てのデータが揃っています。ぜひ参考にしてみてください。
また、NPO法人の会計基準は税理士さんでも詳しくない人がいますので、NPO会計基準に対応している無料から使える会計ソフト「freee(フリー)」の活用をおすすめしています。
「NPO法人」がやる街頭募金って怪しくないですか?
A.NPO法人が行う街頭募金自体は何も怪しくありません。
NPO法人が行う街頭募金は何をしているのかわからないから怪しい。何にお金が使われているかわからないから怪しい。街頭募金やるくらいなら自分達でバイトしてお金を稼いでそのお金で活動すればいいのにやらないのは、人からお金を搾取するためだ。怪しい。等これまでに様々な理由を聞いて来ましたが、それはある種「思考停止状態」です。(奴隷の幸福)
NPO法人は全国に約5万法人ありますので、しっかりと情報を公開(HP等)しながら活動している団体も多くいます。(※もちろんNPO法人は情報公開の義務がありますが、所轄庁での紙データ公開が多いです。)2019年11月17日(日)現在は、東京都NPOポータルサイトに情報が公開されていますので、こちらからご覧ください。(東京都内に所在地がある団体です。)
HP等で団体ごとの決算書や事業報告書等を確認して、募金したお金がどのように使われているか確認すれば怪しいかどうか。NPO法人の活動にきちんと使われているかどうかがわかります。
NPO法人の街頭募金で、警察署からの許可があります。と道路使用許可書を提示してくる団体があるかもしれませんがそれはあくまで、警察が「道路を使っていいですよー」という書類でしかありません。団体を担保しているわけではありません。注意が必要です。
「NPO法人」の社員(構成員)とは何か?
A.「NPO法人」の社員(構成員)とは「株式会社」の株主です。
「NPO法人」の社員と「株式会社」の社員では意味が違います。この違いの重要度はそこまで高くありません。しかし、名称が違うことで全体像を把握しずらくなってしまうので簡単にご説明します。
と偉そうに言っていますが、大学卒業後直ぐに法人を設立した自分には、NPO法人の社員(構成員)と株式会社の社員(従業員)の違いはわかっていませんでした。
「NPO法人」の社員(構成員)は「株式会社」の社員(従業員)ではなく、株主(株式会社の構成員)をさしています。法人設立しましょう。と手をあげる人のことをNPO法人では社員と言います。
「NPO法人」は設立するだけで助成金・補助金がもらえる?
A.設立するだけでは、助成金や補助金はもらえません。
NPO法人は設立するだけで、行政から助成金・補助金がもらえる。と考えている人がたまにいます。しかし、そんな簡単に助成金や補助金を獲得することはできません。
特定非営利活動(NPO活動)だけでも20分野あり、それぞれの課題に取り組むNPOが全国に約5万法人あります。そのためNPO法人を設立しただけでは助成金や補助金は獲得できません。
助成金や補助金はそれぞれ資金提供団体側の想定している課題を解決するために、自団体が何を目指し、どんな事業を行うことで解決するかを提案することが必要になります。
「NPO法人」の設立はどこで相談すればいい?
A.各都道府県庁の担当課にいけば、設立の流れを教えてもらえます。
各都道府県庁の担当課では、設立の流れから各書類の作成方法を教えてもらうことができます。また場所によっては、設立セミナーを開催しているところもあります。
しかし、それぞれの団体で独自のルールを設定するためには定款(ルール)のテンプレートをそのまま利用するのではなく、自団体向けに修正していく必要があります。
そこで団体の特徴に合わせると相談する相手は、以下のような選択肢があると思います。
①行政書士や司法書士に相談
②NPOの中間支援施設に相談
③既に団体を立ち上げている先輩に相談
それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
①行政書士/司法書士
メリット:専門家に相談できる安心感がある。法人設立のスピードが上がる。
デメリット:費用がかかる。NPO法人の設立に詳しい人を探す必要がある。
②NPOの中間支援施設職員
メリット:NPOをサポートしている人に事例と一緒に聞ける。無料で相談できる場合が多い。
デメリット:専門性を持っていない場合も多く、実際に手続きをした人が少ない。
③既に団体を立ち上げている人
メリット:経験している人に聞ける。様々なテクニックを知れる。
デメリット:出会うのが大変。専門家ではない。
「NPO法人」の設立は何から始めればいい?
A.設立総会を実施することから始まります。
仲間を集めて設立総会を実施
↓
各種提出書類を作成・提出
↓
認証(審査・縦覧・公表)
↓
法務局で登記
↓
所轄庁に書類を提出(都道府県庁)
「NPO法人」の設立に必要なお金はいくらですか?
A.NPO法人の設立費用はかかりません。
NPO法人の場合には、都道府県庁への書類申請や公証役場の定款認証(不要)、所在地の法務局登記の費用が一切かかりません。(※同じ非営利組織の一般社団法人の場合には、最低でも約11万円かかります。)
先ほど、NPO法人の相談についてでもご紹介した行政書士や司法書士に書類の作成から提出までを依頼する場合には、NPO法人でも費用がかかります。
(※行政書士は書類の作成までしかできません。司法書士の場合には登記まで行えます。そのため専門家に相談するならば費用があまり変わらないのであれば司法書士に相談することをおすすめします。)
「NPO法人」について詳しく知りたい方はこちら
NPOの法律相談
NPO法人の設立から、運営で実際に弁護士さんに寄せられた相談に答えている本ですので、ぜひ教科書的に持って置くことをおすすめします。
NPOの教科書
NPO法人の運営とファンドレイジングサイトを運営されている佐藤大吾さんと教員として実際に学校で勤務したこともある乙武さんが対話形式でNPOの疑問について答えています。
初歩的なことから対話形式で書いてあるので、わかりやすい本です。
最後に
NPO法人に関わってみたい。NPO法人を設立したい。運営でこんなことに困っています。等ありましたら、以下よりお問い合わせいただければご対応いたします。