自分たちがやる活動はどの法人が適しているのか。またNPO法人や一般社団法人を設立する際の流れや費用、手間等を知りたいがわからない。
そんな疑問に答えていきます。
本記事の内容
・NPO法人と一般社団法人の違い
・NPO法人と一般社団法人のメリット・デメリット
・一般社団法人(非営利型)について
・NPO法人と一般社団法人向けの無償・格安ツール紹介
おまけ:一般社団法人(非営利徹底型)について
NPO法人や一般社団法人の特徴を理解して、自分達にとってどれが最適な法人格なのか選択できる状態になります。
私は、新宿でNPOの中間支援施設で設立や運営の相談に乗りながら、自分で一般社団法人ことばを設立・運営しています。
一般社団法人ことばについてはこちら

そこで今回は「NPO法人と一般社団法人の違いについて」私の経験を踏まえながら、とてもわかり易く解説しようと思います。
「これから活動を始めよう」と考えている方は、ぜひ記事をご覧ください。
Contents
NPO法人と一般社団法人の違い

NPO法人と一般社団法人では、設立費用や人数、税制優遇まで様々な違いがあります。
次にNPO法人と一般社団法人のメリットとデメリットをそれぞれ書いていきます。
NPO法人と一般社団法人のメリット・デメリット

NPO法人のメリット・デメリット
NPO法人のメリット
NPO法人の場合には、設立に一切費用がかかりません。
NPO法人の場合には、定款の認証や登記に費用が一切かかりません。NPO法人以外の法人だと必ず費用がかかります。
NPO法人の場合には、会費や寄付金などには課税されません。
NPO法人の場合には、特定非営利活動を行いますので、収益事業以外に課税されることはありません。受益者のために支援者が寄付してくれたお金に課税されないような仕組みになっています。
NPO法人は無償、格安で使えるツールがたくさんある。
会員や寄付者、ボランティアの管理などに使えるソフトが無償または、格安で利用することが可能です。
NPO法人のデメリット
NPO法人の設立までにかかる時間が長い。
これは書類等が出来て申請から認証、登記までの時間であって事前の準備も入れたら半年位かかってしまうのではないかと思います。
NPO法人は役員報酬や親族規定がある。
親族で役員につけるのは1/3以下です。4人以下の場合には、家族を入れることができません。また、役員報酬についても理事の1/3以下という規定があります。
これらのルールは、NPO法人が利益の分配を禁止していることからきています。
NPO法人は所轄庁への報告義務がある。
NPO法人の場合には、所在地(事務所)を置く場所の都道府県知事に報告することで、市民へ公開を活動を監督してもらうためです。
例)決算書、事業報告書の提出等
NPO法人は情報公開義務がある。
上記と同じようにNPO法人の場合には、決算書や事業報告書等を市民がいつでも見られる状態にする必要があります。
※HPで公開している団体もありますが、所轄庁への書類提出のみの団体も多くいます。
一般社団法人のメリット・デメリット
一般社団法人のメリット
一般社団法人は設立にかかる期間が短い。
一般社団法人はNPO法人と違い所轄庁の認証がありません。そのため、定款を作成して、法務局で登記すれば法人は設立できます。
一般社団法人の場合には活動内容に制限はありません。
NPO法人の場合には、特定非営利活動(20項目)の中から活動を行わなければいけませんが、一般社団法人の場合には、そういった制限は一切ありません。
一般社団法人のデメリット
一般社団法人の設立には費用がかかります。
一般社団法人の場合には、公証人役場での定款認証に5万2,000円程度と法務局での登記に6万円の合計11万円程度がかかります。
(※定款認証が5万2千円程度なのは、定款の枚数に応じて値段が変わるからです。)
一般社団法人の場合には、法人住民税がかかる。
一般社団法人の場合には、普通と非営利型の2つの形態がありますが、どちらでも法人住民税がかかります。(収益事業を行っていない場合だと均等割だけになります。)法人が存在しているだけで税金が毎年かかります。
一般社団法人は非営利型でないと税制優遇が受けられない。
一般社団法人の非営利型の場合には、NPO法人同様に会費・寄付金が課税されませんが、一般社団法人(普通)の場合には、株式会社同様に課税されてしまいます。活動内容が自由なこともあって株式会社と同じ扱いをされます。
NPO法人・一般社団法人向けの無償・格安ツール紹介
NPO法人向けの名刺管理ツール

Sansanは個人用の名刺管理ソフトとして、eightも出していますが、NPO法人向けに月1万円で5,000枚まで取り込み可能なプランを用意しています。また、このプランの場合には、名刺スキャナーも無償で貸し出しています。
多くの方と名刺交換をして紙やエクセルで管理している団体の方はぜひ導入してみてください。
NPO法人・一般社団法人向けの寄付管理ツール

Syncableは、NPO法人や一般社団法人がWEB上で資金調達するためのWEBツールです。手数料が無料なので、ページを作成するのにお金がかかりません。そのため、これから寄付を獲得していきたい団体にとっては作成しておいて損はありません。
NPO法人・一般社団法人向けのITサポート

TechSoupは、NPO法人や一般社団法人向けのIT製品(パソコン・ソフト)やサービスを格安で受けることができます。
TechSoup について さまざまな問題の解決のために活動する民間の非営利団体。 … TechSoup(テックスープ)は、社会問題の解決のために活動する世界中の民間の非営利団体が最大限の力を発揮できるよう、ソフトウェアなどのIT製品を提供するほか、ITのサポートを行います。
引用元:TechSoup
ちょっと登録や利用の際に手間はありますが格安でサービスを受けられることのはいいと思います。
NPO法人・一般社団法人向けの顧客管理ソフト

cybozuhはNPO法人や一般社団法人向けに、データベースソフトのkintoneやメール共有ソフトのメールワイズ等を格安で提供しています。
NPO法人や一般社団法人では、会員・寄付者・受益者、その他にもたくさんの関係者が関わっています。そのため、情報管理も多様化・複雑化するため、ソフトを活用して管理コストをさげましょう。
また、海外で活用されているSalesforceは少し使い方が難しいですが、無料で提供されているので、ITツールを活用できるスキルがある場合には、Salesforceを検討してみましょう。

活動するための最適な法人を選択する
ここまで、NPO法人と一般社団法人について、期間や費用、設立に必要な人数、それぞれのメリット・デメリットと様々な面から比較してきましたが、必要なのは、何をするのか。そのためには、コストはかかってもいいのかを比較しながら最適な法人を選択することが必要になります。
【NPO中間支援施設で聞かれること】
Q.●●の支援活動を始めたいと思っています。
どの法人格で活動すればいいでしょうか?A.NPO法人、一般社団法人それぞれに設立までにかかる費用や期間、運営にかかるコスト、受けられる支援等を参考にしながら最適な法人を選択すればいいと思う。#法人核の比較 pic.twitter.com/CcfUeW3q2J
— やたがわ@本音で生きて建前を捨てる (@yatagawa0422) September 2, 2019
補足:一般社団法人(非営利徹底型)について
一般社団法人には、普通と非営利徹底型の2種類があります。
そこで、非営利徹底型の要件について最後に紹介します。
【一般社団法人を設立するなら持っておきたい1冊】
・一般社団法人普通と非営利法人の違い
①分配をしない事を定款に明記
②財産が残った場合には、国や地方公共団体に定め
③上記に反したことがない
④理事の配偶者が占める割合が1/3以下
⑤理事会の設置
・定款のひな型 pic.twitter.com/eS1twzMEF9— やたがわ@本音で生きて建前を捨てる (@yatagawa0422) June 1, 2019